平和な村に生まれ、16歳までは平和な人生を送ってきた少女。
彼女が15歳の頃、冒険家であった父が持ち帰ってきた不思議な水晶に触れたことで水晶に含まれていた膨大な力が彼女に流れ込んだ。
力を失った水晶は輝きを失い、ただの石ころのようになってしまった。
その不思議な水晶の正体ははるか遠方で「大地からの贈り物」としてとある教団に管理されている「魔水晶」から剥がれ落ちた一部。
魔水晶の一部の力を身につけた彼女は膨大な魔力を身につけた。
ただの美しい石だと思って持ち帰った父だが、同じ水晶に触れた父にはその力が宿っっているわけではなく、村の有識者によると「カータレットの持つ元々の能力に水晶が反応してkの現象が起こった」とのこと。
人間離れした魔力を手にした彼女はやりたい放題していた。
彼女が魔法を見せびらかすのも飽きてきた頃、黒衣を纏った老婆が村に訪れる。
老いた旅人として村で老婆をもてなすことになり、老婆は旅の疲れが取れるまで村の宿屋に滞在することになる。
魔法の力を使って悪戯してやろうと老婆の部屋に近づいていたカータレット。
「欲しいのはこれかい?」
と、掠れた声で背後から声を掛けられる。
その声の主はカータレット自身が悪戯してやろうとして近づいた黒衣の老婆であり、黒い表紙の分厚い本をこちらに差し出していた。
突然のことに驚いたカータレットだが、本の放つ不思議な魅力に惹かれ本を手に取ってしまう。
本を手に取った瞬間、老婆はニヤリと笑いながらまるで灰のように消えてしまった。
状況を受け入れられず呆然としていたカータレットだが、しばらくすると我に返り、恐る恐る本を開くことにする。
その瞬間、本に記された文字が光を放ち本のページを離れて浮かび上がってカータレットの精神に流れ込んでくる。
その感じは自分が初めて魔水晶に触れたときの感覚に近く、全ての文字を取り込んだところで本も灰のようになって消えてしまった。
一連の不思議な現象に驚きっぱなしのカータレットだが、いつの間にか自分の中の力が増大していることにすぐに気付く。
やることもなくなった彼女はその場を立ち去り、次の日を迎える…そしてそこで本当の変化に気付くことになる。
いつも通り魔法を使おうとした彼女は違和感に気付く。
ただ蝋燭に火を付けようとしただけなのに大爆発が起こったのだ。
同じ場に居て爆発に巻き込まれた母は顔に大火傷を負ってしまう。
急いで村の医師のもとへ連れて行き治療してもらうが、火傷は治っても火傷の痕は今後永遠に無くなることは無いとのことだった。
後に分かることだが、黒衣の老婆が差し出した本は魔水晶の力を文字にしてしまっておいたものであり、老婆は命が尽きるまでに本に蓄えられた力を、力を扱うに相応しい者に届けることが目的だった。
既に魔水晶の力の一片を持っていたカータレットこそが、本の力を継承できる存在だった。
既に魔法の才能が芽生えていたカータレットにさらに大きな魔力が流れ込んだことで人知を超えるほどの力も扱えるようになっていた。
だが皮肉にも大きな力のせいで起こった事故を機にカータレットは自分の行いを反省し、魔法を使うことをやめてしまう。
老婆と出会ってから1年近く経つ頃、村に魔物が襲撃に来る。
近年、魔物により町や村が襲撃されるという事件が多々起こっており「魔王が人類侵略に向けて本格的に動き出した」と知らされていた。
村の男性が集まり魔物に応戦するが、何の訓練もしていない村人たちでは多数の魔物達には歯が立たなかった。
戦う村人たちが押される中、魔物の軍勢の中心で大きな爆発が起きる。
この爆発により魔物の戦力は下がり村人たちの力でも押し切ることができるようになり勝利することができた。
戦いの最中、敵の軍勢に爆発を起こしたのはカータレットだった。
魔法は使わないはずだったが、自分や村人を「守る」ために魔法を使ったのだった。
今までは魔法を悪戯に使ってきたので、誰から感謝されることなどなかったが村のためにその力を使ったことでカータレットは村人たちから厚く感謝された。
あの事故以来、魔法は使わないと決めたカータレットだが、「人の役に立たない魔法は使わない」と誓いを改め、もっと魔法を自由に操れるように…もっと人の役に立てるような魔法使いになるべく修行と人助けを兼ねた旅に出ることにする。