アウトローグループの下っ端として生きていたツバサはある日、緑色の大きな羽根を拾う。
その羽根は魔性の光沢を帯びており、それを気に入ったツバサは羽根を肌身離さず持ち、大事にしていた。
ある日、ツバサはグループのリーダーから呼び出される。
リーダーは勇気がなくて悪行に身を染められないツバサを攻め立てた。
リーダーとその取り巻き達はグループの中でも一際温厚なツバサが言い返したり殴り返したりしないことをいいことに散々に貶したのだった。
リーダーたちがツバサを貶すのに飽きてきた頃、ツバサがポケットに入れていた緑の羽根がツバサに対して喋りかけたのだ。
「お前は弱いな」
ツバサはその言葉を羽根が言ったなどとは感じておらず、取り巻きの一人が自分を貶しているようにしか聞こえていなかった。
「強くなりたければ、望め、力を持つことを」
誰が言ったのかもわからないその言葉にすがらなければならないほどにツバサの心は荒んでいた。
「力があれば、もうこんな目に合わなくて済むのか?」
突然喋り出したツバサを見て、リーダーたちはどよめく。
「そうだ、悪魔に魂を売ってもいいと、強く念じるのだ」
「わかった」
ツバサがそう言うと、緑の羽根が黒い何かに姿を変え、ツバサたちの前に現れた。
アウトローグループの住処だった廃屋に嵐が吹き荒れ、グループの者達は嵐によって高く舞い上げ荒れ、やがて床に叩きつけられた。
「アンドラス……それが私の名前だ、これからよろしく頼むよ、ツバサ」
アンドラスと名乗る謎の存在はまるで翼を友として認識しているかのようにやさしい声で語りかけた。
状況を理解できずにいるツバサにアンドラスは続けてこう言う。
「敗北感、劣等感を味わいたくなければ強くなれ、ツバサが力を望むのなら私はいくらでも貸してあげるよ」
それを聞いたツバサは静かに笑うのであった。
ツバサは自分の力のために悪魔を利用することを考え。
悪魔アンドラスはツバサを媒体にして、自らの力を誇示しようと考えていたのだ。
お互いの目的のためにお互いを利用するコンビが誕生したのだった。