
神穿ちの槍
人間に天罰を与えようとした神と人間が戦った際、神に立ち向かった者が使ったとされる槍。
最終的にこの槍が神の胸を貫き、神が死んだことで戦いが終わった。
その者は人々を救った「英雄」とも呼ばれ、神を殺した「冒涜者」としても扱われた。
しかし、それ以上に神殺しの決め手となったこの槍には賛否両論の評価が付けられており、今尚この槍が戦いを終わらせた敬うべきものなのか、神を殺した存在してはいけないものなのかが協議されている。
神の血に塗れたその槍はこれ以上無駄な協議に人々が時間を浪費しないようにと、何者かが処分したとの噂。
これほどに人の興味を集める槍が、簡単に処分されるとは思わないが。
穢れの槍
神と人間の戦争を終わらせたとされる英雄の槍を模して作られた槍。
「いざとなれば神にすら立ち向かう」
それほどの覚悟を意味してこの槍は作られ、とある騎士団の宝として大事にされていた。
騎士団が強大な魔物の軍と戦うことになったとき、騎士団長はこの槍を手にして戦場に出た。
魔物の軍に勝利した騎士団は街の者達から褒め称えられたが、一部の者は騎士団に対して神を殺した忌々しい槍を使う冒涜者の集団だと決めつけ、騎士団を貶めた。
やがて騎士団はその者達に活動を邪魔されるようになり、騎士団長はこの槍を手に取り、かつて英雄と呼ばれた者がその槍で神を貫いたように、この槍で騎士団を貶す者達の胸を貫いた。
騎士団から遠く離れた森の奥地に刺さるこの槍は先代団長の墓。
騎士団の仲間が団長の悪行を隠蔽するために僻地に団長を葬って、この槍も放棄したのだという。
この話の良い部分だけが言い伝えられ、魔物の軍の一騎当千を成した伝説の武器として伝わっている。
そんな伝説の槍を求めて、血眼で探す冒険者やトレジャーハンターも多い。
その伝説の槍が、人間の血で穢れたものだと知らずに。