
忌まわしき銀大皿
王宮で使われていたという銀製の大皿。
王へ提供される料理を盛るために使われたこの皿はかなり大事にされており、王にとってもお気に入りだったという。
ある日、王が毒殺される。
毒殺の方法は料理に毒を盛るという単純な方法で、この皿に盛られた料理に毒が盛られていたことが分かった。
その時代は銀はあらゆる毒に反応し、毒が入っていることを視認できるようにしてくれる聖なるものとして信じられており、王もこの皿を信じて料理を口にした。
(銀が反応するのはほんの一部の毒のみである)
あろうことか、王宮の者たちは毒を盛ったものではなく、この皿が毒に反応しなかったのが王の死の原因で、この皿こそ忌むべきものであるとされ、王宮の者や民に傷つけられたうえ、旅の商人に銀製の皿とは思えない値段で売られた。
人々の悪意を受けたその皿は意思を持ち、自分が毒を検出できなかったことを悔い、あらゆる毒を無毒化する力を身に着けた。
歪に変形したその皿は、次こそは持ち主を守ることができるようにと夢見ながら、骨董品屋の倉庫で静かに次の持ち主を待ち続けている。
